状況に応じて鍬も鋤も変えてきた
なら、土地も変えるまでよ by 草薙素子

_ [健康で文化的な生活] 再投稿終わった

デバッグに向かう。

_ [健康で文化的な生活] 年越しデバッグ村の朝は早い

年越しデバッグ村の朝は早い。シミュレーションは天気に敏感だ。そのため、その日の気温湿度で答えが変わるのだ。それを見極めるための早起きは欠かせない。

「ええ、シミュレーション結果は生ものですからね。早起きして天候を見極めて、それから仕事に入るのは当然ですね(笑)」「最近では夜にしか現れない人もいるようですが、ちょっと考えられないな」

と続けるAさんは、ポスドク(PD)6年目だ。同期がどんどん就職する中、"いつかでかいことをやる"と思い続けてずるずると起伏の無いまま6年目を迎えてしまったそうだ。起き抜けのAさんは我々との会話を早々に打ち切って小一時間ほど空模様を眺めた後、リズミカルにキーボードをたたき続けた。朝の一仕事を終えたAさんがたき火の前に悴んだ指を炙る。土色の指が徐々に赤みを戻していく。

「今年も来ちゃったね」

泥のような色をした炊き出しの珈琲を飲み干して、Aさんはつぶやいた。なんでもAさんは、年越しデバッグ村で正月を迎えるのは10年目らしい。年越しデバッグ村が社会問題化する遙か以前からの長老だ。